2014年9月23日火曜日

認知症協会訪問

     本日はフィンランド認知症協会ピルカマ支部を訪問。アメリカのアルツハイマー協会とは、直接にコンタクトはないという。フィンランド認知症協会は、NPOであり、活動やスタッフのサラリーなどの維持費は95%、ほとんどスロットマシーンの協会、RAY(Raha Automatti Yhdistys)協会から得ている (スーパーマーケットやショッピングセンターの入り口に何台も並んでいる、これらのカジノのようなスロットマシーン、1ゲームが1から5ユーロもするのに、たかるように男女、老いも若きもプレイしてるのがなんだか不思議でしたが、こうして役に立ってもいるのですねー)。昨年創立25周年を迎えたそうだ。本部はヘルシンキにあるが、ここタンペレ市にあるピルカマ支部はフィンランドで一番大きく、8人の常勤スタッフが、300人を越す会員とともに、活動しているそうだ。その上に、この支部には70人からのヴォランティアも参加しているそう。その多くは、看護師、医師を始めとする保健関連のプロフェッショナルであり、そして、自分自身、家族に認知症高齢者がいるか、いたかの人が多いとのこと。

会員数は毎年延びており、ここ数年で2倍以上になっているという。会費は年に個人が20ユーロ、団体が50ユーロ。タンペレ市の中心地に近く、タンペレ大学の向かいのビルディングの一階に位置し、入り口を開けると、感じの良いレセプションブース、スタッフのオフィスの他に、定期的に催されるグループミーティングのための大広間が待合室兼ファミリーのミーティングの場所にもなっているリビングスペースを囲んでいるセッティングである。一階なので通りに面している窓には大きな協会のロゴのポスターが張ってあり、訪れる人がすぐに分かるようになっている。待ち合いスペースのリビングには、フィンランド人が好む易しい色合いの木製のテーブルセッティングと活動を紹介する様々なパンフレット、リーフレットが並ぶシェルフが置いてある。ここを中心に円形に各スタッフのオフィスのドアが配置されている。入り口のドアを開けると、すでに受付のレセプションに待っていてくれて、感激。一応、構造を説明しながらスタッフにも紹介してくださり、またまた感激。
   インタビューの応接間、支部長室に案内されると、コーヒーにスナックやフルーツまで用意されてありました。参考資料もコピーをすでにまとめてあり、英語で説明したり、インタビューされるのはね。とおっしゃるが、この誠意のこもった対応だけでもその真摯な姿勢がひしひしと感じられる。
  フィンランドでも寿命が延び、高齢化が急速に進んでいる。平均寿命は81才、男性で78才、女性で84才。EUに属するフィンランド、高齢化率はEU諸国の中でダントツ、現在では65才以上の高齢者人口は総人口(540万人)の17.8%(2011年統計)。このままの増加率を維持すると2050年までには、高齢者率が27.1%と推定される。中でも80才以上は総人口の10.2%となる。国民の10人のうち1人は80才以上となるのだ。それはまた認知症高齢者の急速な増加をもたらしているのは、日本と同じ。

  フィンランド政府はこの急速な高齢化に対応して、社会保健省が昨年、National Memory Programme 2012-2020 ナショナル メモリー プログラム2010-2020をスタートさせた。毎年新たに13,000人以上が認知症と診断されている。診断技術の進歩でそれまでにうつ病と診断されていた人も新たに認知症と判定されてきていることも事実であるが、それでもこの増加は公衆衛生、そして国家経済にも大きなインパクトとなっている。労働年齢層の若年性認知症も含めて、社会福祉、保健福祉サービスの需要が確実に増加している。24時間可能なこれらのケアサービスを受けている人の3/4は認知症の人達という。健康な脳をつくり、維持しようという主旨で始まったこのプログラムは、それ以前からその主旨で活動してきている認知症協会のメインテーマを世襲したものであると、ピルカマ支部長、テイヤ シーポラ氏が誇らしげに語る。この25年間、認知症の啓発活動と認知症本人(高齢者、若年認知症者共に)とその家族のサポートにひたすら力を入れてきた。2時間に近いお話を今、録音を聞き返しながら、まとめつつあるが、北欧福祉国のリーダーとしてのフィンランドを垣間みる思いである。

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