2014年9月10日水曜日

介護士教育

    フィンランドの高齢者介護で見習うべきことの一つは、介護士教育が充実していることだ。ラヒホイタヤ、英語ではpractical nurseとなってしまうが、フィンランドでは2−3年のしっかりとした教育と実習に裏打ちされた資格であり、職業として確立している。
フィンランドの高齢者ケアも国の指針が 施設ケアから在宅ケアへシフトが押し進められているが、そのケアの中核となっているのが、ラヒホイタヤという職種の介護士である。看護師資格はもたないので、医療行為はできないが、実際の薬の摂取がなされているかを、見守ることになるし、日々の変化を察知して、医療行為が必要と判断したときには、看護師、医師と連携するという重要な立場にある。アメリカでは、介護、つまり排泄補助、食事の補助などの日常生活の介護補助をするケアスタッフと投薬の時間や分量をコントロールするケアスタッフははっきりとした職業分離がなされていたが、フィンランドではライヒホイタヤはすべてを担当している。

       さて9月、新学年になり、タンペレ市高齢者ホームにもたくさんの実習生が入ってきた.5週間の実習の始まりである。実習生はスーパーバイザーの下で、1夜のナイトシフトを含めたモーニングシフト、アフタヌーンシフトの実習を積むことになる。

    実習生が若い学生かというとそうでもないのに気づく。中年以降の実習生も多いのだ。この来ホイタヤという職種が確立してまだ10年に過ぎないためもあるだろうし、それとここフィンランドでも高齢者人口の増加で高齢者ケアに携わる仕事の需要が近年急速に増していることもあるだろう。
また、フィンランドの社会保険福祉制度の一つとして、教育を受けている期間は教育補助費がすべてに支払われるということにもよる。

    ユーコラにきた実習生のひとりAも家族があるが、上の子供2人がほぼ独立したので、ラヒホイタヤになることで小さい頃からの夢が実現できると思い、学校に戻ったという。
若い時にはマーケティングを学んで、結婚して子供が5人もあるので、それなりに忙しい人生を送ってきたようだ。現在は上の子が19才、下の子が9才という。
  職業につくことはなく子育てに専念してきたが、それでも家で2歳児を中心に4人の子供を預かる自宅ケアを長年してきたそうだ。ラヒホイタヤを選んだのは、2年半の就学期間とケラから、在学中900ユーロの学費補助が毎月あるから。それに、卒業後の就職率も高いと聞いたから、という。



  彼女を通じて、フィンランドの女性の職業感、家族感などこれから聞いていこうと考えている。

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