2014年9月30日火曜日

高齢者ホームでのイタリア語レッスン

   
    

新しいスタッフにイタリア人が雇われました。南欧色の濃い若者アンドレアです。イタリアでも介護士だったそうですが、フィンランドに来てから言葉も勉強し、介護士養成学校、ライホイタヤ学校に入り、2年半勉強してフィンランドでも正式なラヒホイタヤになりました。もう8年以上住んでいるので、語学学校にも通ったし、またフィンランド人のガールフレンドと一緒に暮らしているので、日常会話に困らないくらいにフィンランド語を話します。
   明るく人懐こいイタリア人のイメージそのものの性格なので、レジデンスやスタッフにもすぐなじみました。チャオーと認知症の進行したレジデンスもまねるようにもなりました。
  


それで、アクティビティーの一環としてのイタリア語レッスンとなったわけです。フィンランド人にとって、南ヨーロッパは気候も良いので、あこがれの土地、バケーションの人気スポットです。物価の安さもあり、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアは夏、冬問わず人気です。レジデントのTは30年以上前にイタリアに職場の仲間と、1か月旅行したということを認知症が進んだ今でもはっきりと覚えていて、その時のアルバムを私に何度も見せるぐらいです。
脳トレでも、絵画や、自分の時代の歴史や物などについて話すこと、それに語学に挑戦することの効果が指摘されています。多くのレジデンスが参加、まずはこんにちは、私は__   です(ミキモ__)。チャーオ、ミキモ T! チャーオ ミキモ A!

  なかなか、楽しいクラスに発展しそうです。フィンランド語は英語などの言語との語源は違うということですが、同じアルファベットを使いますから、馴染みも早いようです。残念ながら、日本語は“ありがとう”、“こんにちは”は、けっこう知られていますが、アルファベットを使わないという大きな違いがもう一つの壁になっているようです。言葉にして、大きな声で復唱するのも楽しそう。まあ、ほとんどが毎回のレッスンの後では、レッスンがあったことさえ忘れてしまうようですが、それでも、その時間は楽しそうです。ビバ!

2014年9月29日月曜日

フィッシュマーケット祭

  









北欧の人々はヨーロッパの中でも魚を食べる人達です。フィンランドでは、ノルウェーのサーモンをディルを香味料として、オーブンでバター焼きにしたり、いわし、たら、にしんに、香味料をたくさんまぶした小麦粉、ライ麦粉をふり、フライパンでバターと焼いたりします。家庭ではほとんど油で揚げる料理をするのをみたことはありませんが、バターやオリーブ油、サラダ油などはふんだんに使います。
タンペレの2つの湖の交わる港では、毎年この時期にフィッシュマーケット祭が開催され、サーモンの豪快なたき火焼き、ムンキというたぶん小イワシの鉄板いため、さらにニシン、タラなどいろいろな魚の鉄板焼きが、ポテトや野菜などと一緒に売られます。昨年は、来たばかりの頃だったので、観光客気分で味わい、その味の濃さと塩辛さに驚いたものでした。今年は、ちょっと余裕で、毎年恒例なら、まあ秋の楽しみの一つかなと、出かけてみました。 金曜、土曜、日曜日の3日間。港の広場にはたくさんの出店がでており、近くにテントを張って、テーブルとベンチが設置され、そこで食べられるようになっています。今日、土曜日は昨晩の嵐のような雨もすっかり上がり、晴天の下、大勢の市民でにぎわっています。サーモンと野菜のつけあわせで12ユーロ、ムンキの鉄板焼きは7-8ユーロ。昨年は10ユーロと7ユーロだったのになあ、物価は確実にあがっているのだわと思い知らされます。板囲いのたき火のまわりを、長い板にはりつけられた大きな半身のサーモンが囲み、買い手がつくと、最期の仕上げに、炎の上にかざしながら、コニャックをバシャとかけるのです。なんとも豪快でふくれるように焼かれた身肉は柔らかそうで、お腹がすいてきます。1キロ35ユーロ、けっこうな値段です。つけあわせの野菜は、ポテト、ビート、人参、ブロッコリー、ときにトウモロコシやさやつきえだまめ。フィンランド人は、グリーンピースをほんとによく食べます。夏は、さやからだして生でポリポリと街頭でもどこでも。ポテトとにつけたり、スープにしたりといろいろな料理に年中使っています。大学のカフェテリアでは、毎週木曜日はグリーンピーススープの日。濃厚なピースープと固いようなちょっと酸っぱみのあるライ麦パン。なんか、ロシア的なイメージでもあります。
生の魚、それから北欧の人々が好きな、魚(おもに、シリという小イワシの類)の酢漬け瓶詰め、缶詰なども売られています。タンペレ市ではなく、北東のクオピオ市が本場ですが、魚のぎっしりつまったサンドウィッチもでています。輪切りしてあり、中にシリなどの小魚が何層にもなっており、ちょっと尻込みです。いずれは挑戦してみますが。

そうそう、レインディアの肉も付け合わせになっていました。思ったより癖もなく柔らかです。野生のは1キログラム50ユーロもするそうですが。

2014年9月25日木曜日

カリヤランピーラッカ

 フィンランドのホームメイドレシピーの一つがこれでしょう。ライ麦粉のクレープよりやや厚めの生地でライスプディングを包み、オーブンで焼きます。焼き上がりにバターと細かく刻んだゆで卵(ムナボイと言います)をのせたり。ライスプディングの代わりに、マッシュポテト、マッシュした人参やチーズにしたり、それぞれの家庭の味もあるようです。元々はロシア国境に近いカレリア地方から広まりましたが、国中のスーパーのパンコーナー、コーヒーショップのスナックコーナーに欠かせない国民の味です。ライスプディングといってもフィンランドのは牛乳粥のようなもの。朝食にそれだけでも、バターを落としたりして食べられています。

  今日、ホームメイド版を手ほどきしてくれたKは、昔、おばあさんからレシピを習い、毎年クリスマスの頃になると100以上つくり、休み中かけてご主人と楽しんで食べるそうです。
彼女は丸く薄く生地をのばすのにパスタメーカーを使っていましたが、おばあさんは両手に綿棒を持ち、一度に2枚つくっていたといいます。家族の3度の食事に、スナックに、パンの代わりに食べたりもするそうです。たしかに、ゆで卵やキュウリの輪切りにハムをのせて、オープンサンドイッチにもなりますものね。

そのレシピですが、ライ麦粉に水とサラダ油を混ぜ、こねて薄くのばすだけ。10センチ直径に丸くするのが見た目以上に難しい。“私は10年以上もずっとつくり続けているんだから、年月が必要よ”と、カティアが笑っています。ところで、ユーコラの高齢者、お手伝いにきました。長年つくってきたのでしょうね、確かに。プディングの加え方、のばしかた、ピンチしてくるむ仕方もそれぞれ少しずつ違います。フィンランドのこの年代の婦人は、家庭を持ったら、カリヤランピーラッカを焼いたり、帽子や靴下、手袋を編んだり、手作りで家族を支えてきたのでしょうね。


 





 さあ、焼き上がりのカリヤランピーラッカをいただきましょう。ほんとに素朴な温かな味です。

2014年9月23日火曜日

認知症協会訪問

     本日はフィンランド認知症協会ピルカマ支部を訪問。アメリカのアルツハイマー協会とは、直接にコンタクトはないという。フィンランド認知症協会は、NPOであり、活動やスタッフのサラリーなどの維持費は95%、ほとんどスロットマシーンの協会、RAY(Raha Automatti Yhdistys)協会から得ている (スーパーマーケットやショッピングセンターの入り口に何台も並んでいる、これらのカジノのようなスロットマシーン、1ゲームが1から5ユーロもするのに、たかるように男女、老いも若きもプレイしてるのがなんだか不思議でしたが、こうして役に立ってもいるのですねー)。昨年創立25周年を迎えたそうだ。本部はヘルシンキにあるが、ここタンペレ市にあるピルカマ支部はフィンランドで一番大きく、8人の常勤スタッフが、300人を越す会員とともに、活動しているそうだ。その上に、この支部には70人からのヴォランティアも参加しているそう。その多くは、看護師、医師を始めとする保健関連のプロフェッショナルであり、そして、自分自身、家族に認知症高齢者がいるか、いたかの人が多いとのこと。

会員数は毎年延びており、ここ数年で2倍以上になっているという。会費は年に個人が20ユーロ、団体が50ユーロ。タンペレ市の中心地に近く、タンペレ大学の向かいのビルディングの一階に位置し、入り口を開けると、感じの良いレセプションブース、スタッフのオフィスの他に、定期的に催されるグループミーティングのための大広間が待合室兼ファミリーのミーティングの場所にもなっているリビングスペースを囲んでいるセッティングである。一階なので通りに面している窓には大きな協会のロゴのポスターが張ってあり、訪れる人がすぐに分かるようになっている。待ち合いスペースのリビングには、フィンランド人が好む易しい色合いの木製のテーブルセッティングと活動を紹介する様々なパンフレット、リーフレットが並ぶシェルフが置いてある。ここを中心に円形に各スタッフのオフィスのドアが配置されている。入り口のドアを開けると、すでに受付のレセプションに待っていてくれて、感激。一応、構造を説明しながらスタッフにも紹介してくださり、またまた感激。
   インタビューの応接間、支部長室に案内されると、コーヒーにスナックやフルーツまで用意されてありました。参考資料もコピーをすでにまとめてあり、英語で説明したり、インタビューされるのはね。とおっしゃるが、この誠意のこもった対応だけでもその真摯な姿勢がひしひしと感じられる。
  フィンランドでも寿命が延び、高齢化が急速に進んでいる。平均寿命は81才、男性で78才、女性で84才。EUに属するフィンランド、高齢化率はEU諸国の中でダントツ、現在では65才以上の高齢者人口は総人口(540万人)の17.8%(2011年統計)。このままの増加率を維持すると2050年までには、高齢者率が27.1%と推定される。中でも80才以上は総人口の10.2%となる。国民の10人のうち1人は80才以上となるのだ。それはまた認知症高齢者の急速な増加をもたらしているのは、日本と同じ。

  フィンランド政府はこの急速な高齢化に対応して、社会保健省が昨年、National Memory Programme 2012-2020 ナショナル メモリー プログラム2010-2020をスタートさせた。毎年新たに13,000人以上が認知症と診断されている。診断技術の進歩でそれまでにうつ病と診断されていた人も新たに認知症と判定されてきていることも事実であるが、それでもこの増加は公衆衛生、そして国家経済にも大きなインパクトとなっている。労働年齢層の若年性認知症も含めて、社会福祉、保健福祉サービスの需要が確実に増加している。24時間可能なこれらのケアサービスを受けている人の3/4は認知症の人達という。健康な脳をつくり、維持しようという主旨で始まったこのプログラムは、それ以前からその主旨で活動してきている認知症協会のメインテーマを世襲したものであると、ピルカマ支部長、テイヤ シーポラ氏が誇らしげに語る。この25年間、認知症の啓発活動と認知症本人(高齢者、若年認知症者共に)とその家族のサポートにひたすら力を入れてきた。2時間に近いお話を今、録音を聞き返しながら、まとめつつあるが、北欧福祉国のリーダーとしてのフィンランドを垣間みる思いである。