2014年11月10日月曜日

カレヴァ教会


    フィンランドにきて初めて教会のミサに出席。これは、リーッタの母の葬式の締めくくりというか、今朝のミサで母親の死が報告され、神父達がさらに祈りを捧げるというもののよう。
    
   リーッタと母親など家族が属するのは1953年に設立されたカレヴァ教区。80%のフィンランド人はフィンランド福音ルター派教会に属する。これは、マルティン ルターによってドイツで始められたプロテスタントの一つ、3身一体を信じ、北欧諸国では国民の多くが信仰。タンペレのカレヴァ教会はそのユニークな教会建築で有名であり、事実ピィエテラ夫妻によって設計されたこの教会は観光名所の一つにもなっている。礼拝堂は30メートルの高さの吹き抜けになっており、壁は継ぎ目のない麻色のコンクリート、床は土色のクリンカータイル。1120の座席や聖壇、巨大なパイプオルガンはすべてフィンランド産の松が使われている。聖壇の後ろの高い彫刻は妻レイマ ピィエテラの作品、傷ついた葦:イザヤ書42章3節  傷ついた葦を折ることなく、ほのぐらい灯心を消すことなく、真実をもって道をしめす。
教会自体を空から眺めると、フロアーは信仰のシンボルである魚の形をしているという。18面の床から天井まで達する窓は、それぞれがやや小さく、そしてそれ以外の装飾はこの礼拝堂にはまったくない。ステンドグラスもない。そのシンプルさは、清々しさに通じ、この教会建築を一層印象深くしているように感じられる。

おごそかなパイプオルガンの演奏でミサが始まり、 4人の神父が登場。そのうち3人は女性で、ますますフィンランドにいるのを実感してしまう。葬式を取り仕切ったのも女性の神父だったし。それをリーッタにいうと、なにがおかしいのか、なぜ男女ということに言及しなければならないのかと、却って不思議がられてしまう。そう、フィンランドでの平等の権利意識はなにをも制する絶対なのである。


2014年11月8日土曜日

初雪の日、フィンランドのお葬式

   
   朝起きてみると、もう10センチメートルも雪が積もっています。ゆうべ寒かったはずだわ。まだ、ちらちらと雪が舞い降りてます。粉雪ではない、もっとしっとりとしたぼたん雪。まだまだ冬の始まりですもの。


   今日は10月に亡くなったリーッタの母親の葬式。所属するカレヴァン教会のチャペルで行なわれます。どうもフィンランドの葬式はオープンではなく、家族、親族、近しい人だけのようです。ですから、日取りも教会と家族の都合に合わせ、決定されます。遠くからの家族の旅程を考慮しなければなりません。 
   
   決められた時間にあわせてチャペルに集って、パイプオルガンの演奏の中、神父のお祈りで儀式が始められました。今日の神父は女性です。リーッタにいわせると、いつもミサを取り仕切っているのは男の神父で、この女性の神父は初めてで、よく知らないのに、と気をもんでいます 。でも、前の日に彼女の家を訪れ、儀式の段取りを話し合い、そして母親についていろいろ話を聞いたそうです。

    パイプオルガン演奏で、神父とともに合唱し、その次に一人ずつ、花を柩に手向けます。柩はしかし、閉じられたままです。リーッタとその弟が、母に向かって最期の別れの言葉をかけます。

   続いて、神父が在りし日の母親の思い出を含めた話をし、あの世でのこれからの安らかな時を祝福し、そしてまた、みなで、合唱して45分ほどの儀式が終了します。この後、みなで、予約してあるレストランで会食して、遠くから来ている人は帰路につくそうです。リーッタの母は火葬されるのですが、それがいつなのかは、聞けませんでした。96才の長い人生、看護婦として働き、戦争中は前線に看護婦としておもむいたヴェテランです。20年以上も先にエンジニアだったリーッタの父親、夫を亡くしましたが、最期まで仲のよい夫婦だったということです。




2014年11月6日木曜日

万聖節 All Saints' Day

     111日はフィンランドの祝日で、すべての商店は閉じます。今年は土曜日でしたが、会社もすべて休みです。もともとは諸聖人の日、カトリック教会の祝日の一つで、全ての聖人殉教者を記念する日。古くは「万聖節」(ばんせいせつ)と呼ばれていたそうですが、フィンランドでも大切な祝日の一つとなっているようです。リーッタに誘われて、夕方タンペレ市のカレヴァン教会墓地にいってみると、人々が手に手にキャンドルを持ってやってきます。



墓地には、もうすでに無数といってよいほどのキャンドルがともっています。いずれの墓石の前に、2,3個、またはもっと多く、一緒に花束やキャンディーなども。もうすでに、晩秋の木枯らしのふくタンペレ、外気温はマイナス温度です。それでも、4時過ぎ、すでに真っ暗になっている街頭は墓地に向かう人々がそぞろ歩きしています。市で一番大きな教会のひとつですから、墓地敷地も非常に広いのです。




   
   フィンランドでは、今も1917年の独立戦争、第二次世界大戦でのロシアとの攻防戦争、これらとときに勇敢に戦ったヴェテラン(戦争犠牲者)に対しての敬意は非常に高いようです。
墓地の中央のヴェテランの集合墓は高く、その前にはたくさんのキャンドルが並んでいます。また、墓地はここタンペレにはないけれど、遠く、ヘルシンキやその他の地に眠る家族や友人のための墓の前にも、無数のキャンドルが。

こういう光景を見るにつけ、近代化が進み、社会主義化し、人権平等意識が高いフィンランドですが、精神の根本に根付いているクリスチャニティーを強く感じるのです。そして、家族主義の一環をも垣間みるように思えます。西欧の文化における、キリスト教というのは、非常に奥深く、大きなものなのだと、実感したところです。

2014年11月1日土曜日

ハロウィーンナイトの舞台鑑賞

  チャリティーの寄附でラッキーにもお芝居のチケットをゲット。フィンランド語の芝居を理解できるかとの大きな不安を抱えながらも、街一番のタンペレシアターのお芝居ですものと、ヤーナと一緒にでかけました。折しもハロウィーンナイト。ウウーン??? アメリカじゃないんですけど、ここ、フィンランド、タンペレですけど。でも、通りを行き交う若者は、全くハロウィーンメークアップのコスチューム。楽しいことはすぐに広がるんですものね。子供達もハロウィーンコスチュームで駆け回ってます。
 お芝居はSusan Hill's horror novel, The Woman in Black、ロンドンで25年以上もロングランだったとか。自分の育てられなかった子供が馬車事故で死ぬのを目撃した不幸な女性の悲しい呪いがイングランドの古い家を覆います。舞台では2人の男性だけ、弁護士とライター、ビデオとライト、怪しげな煙りが雰囲気を盛り上げ、舞台を広げます。この呪われた家を訪れ、弁護士は黒衣の女の姿に怯えるのに、もう一人には全くみえない。
ハロウィーンナイトということもあり、フィンランド語を充分に理解できない私にも、恐怖感が侵入してきます。そう大きくない舞台と客席ですが、満席で、シーンと静まり返り、臨場感を高めます。

   インターミッションには、あらかじめオーダーしておいた紅茶とチョコレートケーキが待合室にセッテングしてあります。さすがヨーロッパ、紅茶にはテーカバーが。チョコレート好きな国民だけに、チョコレートケーキのムースが絶妙な美味しさ。ローヤルブレンドティーとともに、ホラープレーを鑑賞しながらも、久しぶりの満足感でした。 





  観劇を終えて外に出ると、もうすでにクリスマスイルミネーションが通りを明るくしています。フィンランドの長い暗い冬が始まっています。